
── 2015年の調子はどうですか?
あまり良くはないです。
── しかし、年始の東京ダービーでは優出。気合が入っていたのでは?
そうですね。平和島は好きな水面かつ地元ですし、良いレースをしたいなという気持ちは強かったです。
── アウトコース専門になったきっかけを教えてください。
今は新人選手でも半年くらい経つと枠番通り進入するようになるんですけど、自分たちの若い時代は、新人は2年ほど経過するまでは何号艇でもほぼ6コーススタートっていう暗黙の了解があったんです。でも自分は2年経ってもそう(枠番進入に)ならなかった。当時、小川晃司さんなど、先輩でも6コースでやっている方がいたんですよ。自分も先輩のようにやれるのかなと挑戦したことがきっかけで、今もずっと続いています。
── アウト屋としての期待をプレッシャーに感じることはないですか?
昔はスタート決めて、まくらなきゃっていうプレッシャーはありましたよ。でも重荷に感じたことはないです。期待してくれることはとても嬉しいことですし、自分もそういうレースがしたいなと常々思っているので。むしろ有難いです。

── 今までで一番印象に残っているレースは?
一番かぁ…難しいですね。F3をした時のレース(1999年、2003年、2012年の3回)は忘れられないです。今思い返しても後悔しています。
── F3のF休み時にアルバイトしていたっていうのは本当ですか?
1回目の休みの時は地方の建築現場でアルバイトをしました。会社は東京の会社だったんですけど、地方に派遣された方が給料が良かったんで、仙台や新潟まで出稼ぎに行っていました。
── そのフライング休み中に選手にならなかったら…なんて考えたりしませんでした?
フライング休み中に辛いと考えたことは無かったですね。失敗した時は「この仕事向いてないのかな」と一瞬思いますけど、この仕事が一番楽しいし、好きですし、やりがいがあるなとすぐ思い直します。

── では、レースに挑むうえで意識することは?
スタートですね。スタートをどれだけ決めるかってことを考えます。
── 以前6コース以外だとスタートが分からないと言っていましたが……?
スタートを決める自信がないってことです。普通の選手はいろいろなコースを走るので、そんなに違いはないのかもしれませんが、自分や澤(大介)さん、小川さんだと6コースの見え方が染み付いているので、コースが違うとよく分からないんですよ。
── 各場6コースのならでは景色があるのですか?
あります。20年近くやっていると、どこで起こして、どこを何秒で通過してっていうのがだいたい決まってきます。コースが違うとその見え方が変わってくるので、おおよその感覚になってしまうということです。

── チルトについて伺います。どういう時にMAX(0.5~3.0)までハネますか?
伸びがきている時ですね。
── 1節前の平和島は初日と2日目が+1.5、3日目一走目が+3.0、二走目と4日目が-0.5でした。この違いは何でしたか?
できるだけハネて伸びる形が自分の理想ではあるんですけど、前節は+3.0で乗った時が一番酷かったのでマイナスに下げました。ただ、あの時だけに限らず最近は低め。+3.0でほとんど乗れていないです。平和島も多摩川も+1.0で乗ることが増えました。

── 2012年に導入された現行ペラ制度も苦戦の要因ですか?
その変化は大きかったです。それでも昨年あたりは伸びる時は伸びていました。ところが、今回の出力低減モーターは伸びがなかなかつかない。本当に今がレーサー史上最大の壁です!
── ここだけの話、本当はインコースから行きたいなと思ったことはありませんか(笑)?
いや~それはないです(笑)。「今まで」はですよ! これからは分からないです。最近は本当に良くないんで……。

── 弱気になっているではないですか……ダメですよ~!!
そうですよね。ダメですよね。ちょうど先週、澤さんと定期訓練が一緒で、お互いに「ヤバいね」って話をしました(苦笑)。難しさを痛感してはいますけど、今までのレースがあったから応援してくれる人もいますし、このままのスタイルを貫きたいのが本心です! まぁ、良い時もあれば悪い時もある。これからまだ先は長いですし、何年後かにはまたいろいろなことが変わっていくでしょうから、その時のために努力するのみです。