
── まず、Tokyo-SplashのチームSに選ばれた感想は?
私が入っていいのかな? とすごく思いました。だって、山田(竜一)さんや濱野谷(憲吾)さんとか実力のある方々ばかりなので。でも選んでいただいたからには頑張ります!
── 2012年12月には江戸川で初優勝を遂げるなど、着実に成果を上げていることがファンや関係者の評価に繋がったと思います。
あの優勝は、まさか、まさかの出来事でした! 優勝したい気持ちはありましたが、6号艇だったので「無理だろうな」と思っていたんです。あんなターン、あと何年後にできるんだろう……。本当に私にとって忘れられない記念の日になりました。

── また、2013年は2012年に比べて勝率が飛躍的に上がりましたが(3.96→5.56)、その理由は何だと思いますか?
優勝できたことが自信に繋がったんだと思います。初優勝してから「もしかして私でも頑張ればA級になれるんじゃ……」って気持ちが出てきて。しかも、良いエンジンを引けたり、レース展開が良かったり、自分の思いとプラス要素が加わって残せた結果ですね。
── これまでの選手生活の中で一番辛かったことは何ですか? また、その壁はどうやって乗り越えましたか?
一番辛かったのは成績が伸び悩んだことです。フライングばかりしてしまい、ファンの皆さんや関係者の方々に対する申し訳なさと自分のふがいなさに押しつぶされそうになっていました。その時に掛けてくれた母親の言葉には救われました。「でもケガしてないなら良いじゃない」って。 ただ、それでもなかなか前向きになれず、すごく消極的なレースをしていたある日、同期のレースを見ていて、ふと私らしいレースが全くできていないことに気付いたんです。そこから変われましたね。だから家族や同期、あとはいろいろとアドバイスしてくださる先輩方のおかげで今の自分があります。

── 今の市村選手の強みは何でしょうか。
難しいですね……。攻める姿勢、攻めるレースですかね。先輩方やファンの皆さんにそう言ってもらえるので。握って回るところが自分の持ち味かなと思います。
── では、弱みは?
周りが見えなくなるところです。あとは、メンタルがコントロールできずにフライングや事故をしてしまうところですね。
── ブログを拝見すると、常に前向きな印象があります。
そうですね。とことん落ち込む時もありますが、前向きに考えてる方が絶対に良いし、少しでも前に進もうという気持ちがあれば成績は伴ってくると思っています。 あと、常に笑顔でいたいです。ヘラヘラするのではなくて、笑って余裕を見せていたい。私、周りには自分の弱い部分を見せたくないんです。優しくされると泣いちゃうタイプなので(笑)。先輩にフォローしてもらうと特に(苦笑)。

── 憧れているレーサーはいますか?
引退された濱村美鹿子さんです。オカの上では本当に優しくて天使のようなんですけど、レースになるとすごく強くて、私も濱村さんのような選手になりたいと思っています。現役選手の先輩にはいろいろと支えていただいて、いつも感謝しています。Tokyo-Splashでは廣中(智紗衣)さんに精神面でとても助けられていますね。年齢が近い平田(さやか)さんには刺激を受けています。レディースチャンピオン(女子王座)に出場されているのを見て、私も早く追いつきたいと思えるようになりましたから。
※濱村美鹿子:選手生活4年目でA1級に定着し、G1レディースチャンピオンに13回もの出場を果たした東京支部を代表する女性レーサー。2010年3月に引退。