Tokyo-Splashメンバーの素顔を解き明かすSPLASH☆TALK。
レーサーとしての一面とプライベートな一面の2本立てでお届けします。
2015年初回は穏やかな笑顔と対照的に豪快なレースでファンを沸かす石渡鉄兵選手。
2014年の1年間、そして選手生活20年を振り返ります。
[取材日:2015年1月9日]
Racer
Private

── 2014年はSGに6回、G1に10回出場されましたが、どんな1年でしたか?

2014年は平和島でグランプリを開催することもあり、年始から気合いが入っていました。そしたら2月に関東地区選で優勝して、調子良いなとは思っていたんです。しかし、その後調子に乗りきれず、夏場くらいまで全然結果が出せなくて少し中だるみがありました。そんな時、マクール編集長の黒須田さんに喝を入れられ、そこから気持ちを引き締め直したので夏後半に入るとだいぶ良くなっていったとは思いますね。

── 残念ながらグランプリ(決定戦)18名には出場できませんでしたが、グランプリシリーズに参戦。節間を振り返っていかがですか?

予選を通ることができず、情けなかったですし、悔しかったです。前検からかなり気合いは入っていたと思うんですけど、それでも結果を出すことはできませんでした。気持ちだけではどうにもならないので、改めて難しいなと感じましたね。

── 東京支部の主力勢としてグランプリ出場へのプレッシャーもあったのでは?

そうですね。地元勢として出なければいけないと、自覚はしていたつもりです。でも、まだ考えが甘かった。だから、ピットで取材される時もグランプリについていろいろと聞かれましたが「あおって書いてくれ」って言っていました。そうすることで、自分自身に良い意味でプレッシャーをかけていたんです。

── 2015年最初のSGレースはクラシック。2014年は関東地区選で優勝し、
クラシックの出場権をゲットしました。今年も地区選へのモチベーションは高いですか?

昨年中に出場権を取れることがベストでしたが、今年もまた一発勝負になってしまいました。(今年地区選が開催される)戸田は好きなんですけど、地元勢は相当張り切ってくると思うので、それに呑まれないように頑張ります!

── 昨年、選手生活20年を迎えられ、振り返ってみて一番印象深い出来事は?

淡々とやってきたなって感じはあります。強いて言えば2010年に初めてG1で優勝できたことは大きかったですかね。A1級になって一般戦ではある程度結果を出せていましたが、G1だと5、6着ばかりで「どうやったら勝てるんだろう」と長い期間悩んでいました。そんなことがずっと続くとレースに行くのが嫌になってきて(苦笑)。

── そんな中、2010年G1江戸川で優勝したわけですね。

初日、2日目あたりから勝てそうな気配があったんです。モーターも出ていましたしね。江戸川だったので、他場のG1に比べると(雰囲気に)呑まれている感じはなく、もう行くしかないなと思って挑んだ結果が優勝でした。その時からやっと自信を持てるようになったんです。あのレースは自分にとって転機でしたね。
あとは後輩の存在も大きかったかな。いろんな後輩たちが自分に質問してきて、いざ教えようと思った時にどう教えたら良いか全然分からないんですよ。言葉で上手く伝えられないのではなくて、自分ができていないから説明できないんです。人に説明できるくらいちゃんとやっていない。その時に改めてもっと自分は努力しなきゃいけないんだと認識しました。

── 今の若手選手をどう思いますか?

僕が新人の時に比べると、スタートにしても、ターンにしても、陸の上の先輩への気遣いにしても、すごいと思います。とくに後輩だと(荒井)翔伍は気になりますね。期待は大きいです。あ、でも本人には言わないでください(笑)。ほかにも佐藤大佑、伏田裕隆、若林友など、後輩のレースはパソコンで見たりしています。

── デビューした頃の自分と今の自分で変わったところ、変わらないところは
ありますか?

変わったところは、社交的になりました。昔は引っ込み思案かつ人見知りで、一人でずっと本を読んでいるタイプでした。昔に比べるとだいぶ人と喋れるようにはなったと思います。変わらない部分は人の話を素直に受け入れられるところですかね。どんなに批判的なことを言われても受け止めますし、教えてもらったことはすぐ試すようにしています。今でも周りの選手にアドバイスされたら、とりあえずやってみますね。

── いつもどんなことを意識してレースに臨んでいますか?

熱くならないこと。いつも「熱くなっちゃだめだよ!」って自分に言い聞かせています。熱くなると事故を起こしてしまうし、水面に出ると普段より感情的になって人が変わるタイプなので、スタートにしても、ターンにしても熱くならないように、冷静にって心掛けています。

── 自分の性格を一言で言うと?

マイペースでせっかち。自分のペースは守ります。あと、感情の起伏があまりない。レースで危ないことをされたらカチンとくることはありますが、陸の上で腹が立つことはないです。家庭では妻がしっかり子供をしつけてくれているので、息子たちを怒ることもそんなにないです。

── プライベートは何をしていますか?

最近の楽しみは子どものサッカーの試合に行って一生懸命にやっている姿を見ることです。家に居る時は一緒にサッカーをしたりもするんですけど、小学6年生くらいになったら敵わないです。地元のJEF United Ichihara Chiba(ジェフユナイテッド市原・千葉)が好きで、よく家族でサッカー観戦にも行きます。

── 石渡選手がお子さんに影響されているように、お子さんも石渡選手に影響されているのではないですか?

そうですね、ボートレースには興味を持っていると思います。「王者・松井!」とか言っていますよ(笑)。ナイターなら自分が走っているレースを見てくれているらしいです。

── ほかの趣味は?

ゲームをよくしています。最近はドラゴンクエストみたいなスマホアプリにハマっていて、主人公を強くしたいがためについつい課金しちゃって……妻にバレたら怒られますね。あと、ラーメン屋巡り! 一日3食ラーメンでもいいくらい大好きなので千葉県内から東京都内まで写真を見ては美味しそうな店に足を運びます。とんこつベースで野菜などの具材がたくさんのっているのが好きですが、体重管理もあるのでレースとレースの間に1食と決めています。太ると言えばお酒も好きなんです。仕事の帰りに打ち上げなどで選手と飲みに行くこともありますね。帰りに濱野谷さんがお客さんからビールをしこたまもらうので、帰りのタクシーから飲み会が始まっちゃいます。

▲千葉在住の選手たちによる新年会の写真

── 東京支部のメンバーで遊ぶことはありますか?

休みが合わないので定期的には行けませんが、ゴルフや麻雀をしたりはします。
そういえば、昨日は千葉県の選手たちで新年会をやりました。東京支部の新年会は住んでいる地域がバラバラなので各ブロックで行っていると思います。僕は今日が前検日(住之江一般戦の前検日)だったので自重して泣く泣く一次会で帰りました。今回の幹事は、市村沙樹と桑島和宏で、仕事がある人以外はだいたい来ていたから20名くらいは居ましたよ。僕、飲んだらすごい喋って、イジられキャラになるらしいです(笑)。昨日の二次会はどうだったか分かりませんけど、誰かがレジェンドを作っているかもしれませんね。

▲千葉在住の選手たちによる新年会の写真

── 人生でもっとも影響を受けた人は誰ですか?

両親です。親父が競馬とオートレースとボートレースの入学案内のパンフレットを持ってきてくれなかったら、この仕事には就いていなかったので。

── 中学生の頃、漫画をキッカケにJRAの騎手を志していたと聞きました。しかし、競馬学校の入学資格体重に届かず、ジョッキーの夢を断念したんですよね。

減量を頑張りましたが、入学資格には届きませんでした。そんな時、親父が「ジョッキーの方は無理だけど、ボートレーサーはお前の体重にピッタリだぞ」って言ってくれて……迷いは全く無かったです。今思うとジョッキーになっていたら今以上に体重を落とさなければならなかったので、こっちを選んで良かったと思います。両親にはとても感謝しています。

── 目標

ざっくりした目標ですけど、昨年以上に稼ぎたいです!

── 課題

ターンが雑なので丁寧に旋回できるよう努力します。