アウト屋考察
チルトMAXのスタート野郎
 B2級のどん底から2年かけてA1級に這い上がってきた澤だが、最近はチルトで勝つのではなく「スタートで勝つ」という印象が強い。今年に入りここまで148走したが、0台のスタートが41回もある。「切れ順より全速」を目標とする阿波のスタートとはここが決定的に違う。2月の当地戦でも5勝すべてがトップスタートで、優勝戦では今村豊を予選に続きまくりで倒し優勝した。かつては「モーター出しもスタートも苦手」だったが、今も昔も変わらないのは上昇志向の強さ。上を目指すために、澤はチルトをMAXに跳ねてスタートで勝負する。
誇り高きミスターチルト3度
 勝つか負けるかの一撃必殺戦法では、トップレベルの勝率を維持するのは難しい。ましてや記念戦線で戦いながらでは、なお困難を極める。それでもレーススタイルを変えない。勝率維持のためにレーサーを続けているわけではないからだ。「楽しくて仕方がないから」と6コースまくりにこだわる理由を話す。単純明快だ。今期はA1級復帰という必須の目標はあるが、気持ちの中で強いのは当地で雪辱を果たすこと。2月の当地56周年での散々な結果はF休みを控え自重したため仕方ないが、その原因を作ったのが当地正月戦でのF。男気の強い阿波だけに、汚名返上に燃える一戦となるのは必至だ。
追い上げ巧みな3連単BOX派
 期替わり第1戦、地元・津のゴールデンウイーク戦で優出するも、そこで痛恨のコンマ01のスリットオーバー。しかし驚くのはそのあとだ。その直後からの3節で、最も遅いスタートは0.22。次に遅いのが0.20。31走して0.20以上のスタートはこの2走のみで、平均スタートは0.14と、F直後にこの数字を出せるのは、絶対的な自信があるからに他ならない。しかも予想外なのはスタートだけではなく、勝つか負けるかの一撃戦から、巧みに追い上げ重視の走りにスタイルを変化させているレースぶりにも驚く。6月の津では1着1回も2着は4回と、3連単BOXの軸になりうるデータが並ぶ。
変幻自在のアウトライダー
 小川の6コース戦の歴史は長い。阿波たちがチルトを跳ねて大外一本になるより遥か以前から、小川は枠に関係なく6コースからレースをしている。昔も今もチルトを跳ねることなく、他の選手と同じ設定で走る。チルト3度どころか、最近は-0.5度が最も多い。チルトを跳ねる選手と違い、小川はまくりにこだわりはない。むしろ、まくったり、差したり、追い上げたりと、なんでもできるアウト戦の自由さが性に合うと言う。展開を見て隙を突いたり、不意にスタートから一気にまくって出たりと、変幻自在の技が決まる爽快感は我々ファンも共有できるもの。今となっては、最も個性的といえるレーサーの1人だ。
今節もやるぞ! 大物食い
 水摩敦が自在コース派に転身した今、新人を除く4000番台では、現在唯一の6コース専門レーサーといえるのがこの盛本だ。チルトを跳ねてのアウト戦は、高度な旋回技術を要求される。「アウト=新鋭」という図式はあっても、「チルト3度=新鋭」の図式がないのは、勝率は上がらないし、事故も増えるからだ。それを承知で盛本は敢然とチルト3度でレースに挑んでいる。それが自分自身をアピールする手段だと考えるからだ。レーサーとしてまだまだ未完成な部分は多いが、今年1月に江戸川で6コースからまくり3連勝したり、ときにはノーマークで大物食いをやってのける。その不気味さが現在の盛本の最大の魅力だ。
空前絶後の新人がいざ、全国へ
 デビュー期の平均スタートタイミングが0.12。これまではもちろん、これから先もこんなすごい新人選手はもう現れないだろう。今まではアウト一本だったが、これからは枠なりコースも徐々に増えていく。しかし、まだまだ不利枠の時でもアウト戦が買えるレーサーであるわけで、高配当の使者として追いかける価値はある。スタートで飛び出すだけに、チルトMAXレーサーとの対戦も実に興味深い。まだまだ競り合いなどには課題を残すが、日々成長していくレースぶりは必見だ。
アウトまくりにこだわる大物候補
 やまと勝率は8.22を叩き出し、話題を一身に集め、鳴り物入りのデビューだった。デビュー後はやまと学校のような活躍は無理でも、やはり「ただの新人ではない」というムードだったが、デビュー1年が過ぎた現在、勝率は伸び悩んでいる。それは、枠主張をし始めた同期の選手がいる中で、いまだ“外”にこだわっているためだ。インや2コースで走るのは、アウトまくりを完全に自分のものにしてからとの思いが強い。「急がば回れ」それが成功への近道だと信じ、今シリーズも敢然とまくりで勝負だ。