2019年9月のPG1ヤングダービーで
G1初優勝を飾った永井彪也選手。
そのヤングダービーで感じたことや、G1初優勝を経ての心境や今後の意気込みなどについて伺いました。
ヤングダービー優勝おめでとうございます。優勝したときのお気持ちは?
ありがとうございます。優勝したときは素直にうれしいという気持ちと、これからもしっかりレースに向き合っていかないといけないなという気持ちの両方がありましたね。
ヤングダービーが始まる前の心境は?
今回、3回目のヤングダービー出場でしたが、初めて出場したときはA2級でした。当時A2級でも出場できる唯一のG1レースだったので、ヤングダービーへの出場はその頃から特に意識していました。
ただ、同時期にありがたくもSGボートレースメモリアルに出場する機会をいただいたり、徐々にグレードレースに出場できるようになる中で、ヤングダービーはしっかりと3年連続で出場することができて、じゃあ次の目標はタイトルを獲ることだなと意識するようになりました。他のG1レースだと今後選手を続けていくうえでいつか獲れるかもしれないですけど、ヤングダービーは年齢制限があって出場する機会が限られているので、出場できる内に優勝したかったですね。
G1初優出で初優勝でしたが、実際に優勝できる自信はありましたか?
不思議と自分が優勝する姿を想像できました。レースが終わって実際に優勝した後、「本当に優勝できたの?」っていう驚きの感覚はありませんでした。自分の想像していた範囲で「やりたいことを再現できたな」っていう感触でしたね。
節間オール3連対での優勝でしたが、その要因は?
自分の三国でのレースを振り返ると分かりますが、苦手意識はないのにこれまであまりいい成績を残せていません。でも、それを悲観的に捉えるのではなく、なぜいい成績が取れないのか、何が課題なのかを自分の中で思い返し、その課題点に対して十分に準備をしてレースに臨めたのが、今回優勝できた大きな要因だと思います。
具体的に三国のどういった点が課題でしたか?
水面相性もあると思いますが、自分の中で三国でのレースの仕方を定められなくて、細かいレース感覚のズレが生じていました。それが段々と積み重なって、三国ではレースしづらい印象が強まったのが課題でしたね。今回は以前のレースを思い出して、苦手部分に対してこんな感じで対応してみようと想定してから、実際に前検日に試運転して調整しました。
優勝戦はいかがでしたか?
台風の影響で朝から水面がかなり悪かったです。でも、どんな水面であろうと自分のベストを尽くせるように準備することだけを考えていました。その日は誰よりも準備万全だった自信がありますね。なので、どんな結果であっても悔いはなかったと思います。
実際に走っても、焦りとか「やばいな」っていうマイナスの気持ちは全くありませんでしたね。自分のターンをしっかりいって、相手があの位置に見えるから次の1周2マークのターンはこうしようっていう攻め方をずっと考えていました。
2014年に戸田で初優勝したときは、1周1マークで先マイできて、これでもう優勝したと確信したんですけど、2マークで東京支部の先輩に抜かれてしまったんです。その瞬間に1周1マークだけでは勝負は決まらないことに気付かされました。結果としては抜き返して優勝できましたが、「最後まで絶対に気を緩めてはいけない」といういい経験ができたので、日々どのレースでもその気持ちを忘れずに取り組んでいます。今回のヤングダービー優勝戦でも気を抜かずに走りきれました。
優勝後にお祝いしましたか?
レースのあっせんが続いてなかなか時間がとれなかったので、ちゃんとしたお祝いはできていませんが、優勝戦の当日は同期や後輩にお祝いしてもらったので、かなり美味しいお酒が飲めました(笑)。
従兄弟の後藤翔之選手からの影響はありましたか?
まさにボートレーサーになるきっかけでしたね。それまでは全然ボートレースのことなんて知らなくて、実際に見たこともなかったんですけど、後藤選手に「多摩川でデビュー戦があるから見にくる?」と誘われて、いざ見に行ってみると「なんだこれは!」と衝撃が走りました。レースを見た瞬間に自分のフィーリングにバチっと合ったというか、実際に「やってみたい!」という思いが強まりました。そこから一気に興味が湧いて、自分からボートレーサーになるためにアプローチしていきましたね。
師弟関係はどうですか?
師匠である中野次郎さんが現在大阪に住まれているので、直接指導していただく機会は少ないですね。その分マメに連絡をとるようにしています。距離が遠い分、コミュニケーションは意識的にとるようになっているので、変わらず良い関係だと思います。
普段は電話ですが、話し始めると平気で1時間以上通話していますね(笑)。普段から会えれば師弟間で雑談も多いだろうなと思いますが、実際なかなか会えないので会話はほとんどレースのことばかりで、かなり濃密な内容ですね。
永井選手から連絡されることが多いですか?
そうですね、自分から連絡することの方が多いです。レース後は結果の良し悪しに関わらず連絡するようにしています。「今回はこういう感じでいきました」など、もっぱら仕事の話です。ただ、あっせんの関係で1カ月ぶりに連絡したっていうこともザラにありますね(笑)。
だから少しでも多く中野さんと同じレースに出場して、一緒に走る機会を増やしたいと思います。一緒のレースを走ることで学べることもあると思うので、SGやG1レースに一つでも多く出たいという気持ちが段々と強くなっています。
中野選手はどういった方ですか?
とても優しい方です。ご自身の考えをしっかり持った方ですが、それを人に押し付けるようなことはしないですね。そういう人間性が自分にも、弟弟子である大塚(康雅)の性格にも合っているんだと思います。
優勝したことで平和島のPG1BBCトーナメント、SGクラシックの出場が決まりましたね。
それは素直に嬉しいです。地元で開催されるSGに出場できる機会はなかなかないですし、BBCトーナメントは記念すべき第1回目かつ地元開催なので、出場できることは願ったり叶ったりです。
でも、地元だから獲りにいきたいというよりは、一選手としてそのタイトルを獲りたいという気持ちの方が大きいです。地元だからこそ普段どおりにいきたいですね。常に平和島では優勝したいと思っていますし、一般戦でもグレードレースでも同じように頑張りたいです。
G1ウイナーとなって一段階ステージが上がったと思いますが、そこから大きな目標はありますか?
今年はチャレンジカップに出場して、年末に向けて賞金を上積みしていきたいという姿勢に変わりましたね。
これまでは自分にとって獲得賞金というものが漠然としたものだったんですけど、賞金を稼ぐことによって目指せるレースが多くなってきたので、そこで自分がどう結果を出せるか、その結果が今後のあっせんにどう繋がるかを意識しないといけないなと考えています。
いまは好調ですが、長いレーサー生活を通して見たらこれから調子の波は必ずあると思うので、どういう状況でもちゃんと対応できるようにしていきたいですね。
いずれはグランプリにも出たい?
もちろん出たいですね。グランプリの舞台に立つ18人はどんな緊張感や重圧を持って走るのか、興味がありますね。ヤングダービーでさえ緊張感があるのに、じゃあグランプリではどんな感じなのか…。想像もできないですし、実際に走って実感したいです。
直近の目標は?
いま一番手が届きそうなチャレンジカップに出場して、あわよくば一発で獲りたいですね(笑)。なかなかそんな都合よくいかないと思いますけど(笑)。
とりあえずいまは良いリズムで走れているので、持続したいですね。もちろん、好調を維持することは難しいですが…。今回ヤングダービーのタイトルを獲ることができて、東京支部の先輩や後輩にも少なからず刺激を与えられたかなと思うので、このまま順調にいきたいです。
最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
まだまだ未熟ではありますが、これからも精一杯走りますので応援よろしくお願いします。